いわゆる80年代のバブル時代には考えられなかったが、近頃は家で仕事をしている人も珍しくなくなった。
私の親の世代は「仕事は会社に出勤して行うもの」が当たり前だった。
もちろんその頃から八百屋や精肉店など自営業の人は会社勤めではなかったが、それ以外のほとんどの人は会社勤めが普通だった。
ところが90年代に入り携帯電話やインターネットが普及すると、一気に仕事のスタイルに変化が出てきた。
それまで会社のデスクでしていた電話応対は、携帯電話のおかげでどこでも可能になった。
会社の複合機を使って行っていたコピーやFAXも、簡単に撮影し画像やPDFがどこからでもメールで送れるようになった。
会議なんて会議室でなくても、SkypeやFacetimeを使えばどこでもできる。
クラウドの発達により、必要なデータはどこでも誰とでも共有できるようになった。
こうなってくると、デスクワークに関してはわざわざ会社に出勤する必要性が低くなってくる。
「人と人とが顔を合わせ、会話をし、足で動いてこそ仕事ってもんだ!!」
団塊の世代の方々はおそらくこう言うだろう。
それは否定しないが、そればっかりが仕事ではない時代はすでに来ているのだ。
私の本業はショップなどの宣伝映像を制作している。主な作業は撮影と編集。
撮影する時は当然現場にカメラを持って行き撮影をするので家から出るのだが、編集作業は全てパソコン上で完結するので家で行っている。
なので、基本的には家に引きこもっている。
すでに先方により撮影された映像がある場合は、編集作業だけになるので、そうなると家から一歩も出ないこともある。
先方からネット経由で映像データをもらい、自分のパソコン上で編集して完成させ、またネット経由で納品する。
打ち合わせもメール、電話、Skypeで行い、見積書、納品書、請求書、領収書などの書類関係は全てPDFでメール処理をする。
まさに自宅が会社なのだ。
通勤時間ゼロ、着替える必要もゼロ、好きな時間に好きなように仕事ができる。
私が会社員時代から憧れていた「家で仕事をする」という夢は叶ったのである。
と、ここまで聞くと「なんて素晴らしい環境なんだ」といい事の方が多いように見えるのだが、決してそうではない。
家での仕事は「自分との戦い」なのである。
まず自宅という場所は、プライベート空間である。
プライベート空間でオフィシャルな作業をするというのは、場所と内容が一致していない。
自宅にいると「仕事の緊張」という、いい意味でのストレスがない。
仕事なのかそうでないのか、決めるのは自分の心次第になってくるのだ。
会社に行けば嫌でも仕事をしなければいけないというスイッチが入る。
自宅の一室でそれを実現するのは難易度が高すぎるのだ。
また誘惑も多い。
眠くなればすぐにベットがある。腹が減ればすぐに冷蔵庫がある。
娯楽というテレビやビデオもある。
癒しのペットもそばにいる。(ちなみにハリネズミ)
この環境の中で仕事モードで集中するのは、セルフコントロール(自己制御)だけが頼りなのだ。
さらに外野からの攻撃もある。
その攻撃のリーダーは「奥さん」だ。
以前は会社勤めをしていたので家にはほとんどいなかった私が、今はずっと自宅にいるので奥さんが何かと用事を言ってくるのだ。
もちろん奥さんは私が家で仕事をしてるのはわかっているのだが、家にいるとどうしても気軽に声を掛けてしまうようだ。
「夕飯のおかず、ちょっと味見してもらってもいい?」
「ハリちゃん(ハリネズミ)にエサ、あげてくれる?」
「雨降ってきたから、洗濯物取り込んで!!」
奥さんもそこそこの月収を高額パートで稼いで頂いてるので、文句も言わずに従うのだが、その度に仕事が中断してしまい集中力が切れてしまうのだ。
まだまだ自己制御力が乏しい私が悪いのだが、この状況をなんとかするのが今の課題だ。
「家の近くに仕事場としてワンルームでも借りて、そこへ出勤すれば気持ちも切り替えられるし、邪魔も入らない」
起業家の友人がアドバイスをくれた。その友人はそうして仕事場を作る事で集中できるようになったらしい。
いい方法なのはわかっているが、住宅ローンを返済しながら更に上乗せで家賃を支払うには稼ぎが足りない。
どっちにしても私がまだまだ能力不足だという事だ。
同じような自宅ワーカーの方で、プライベートとオフィシャルをうまく切り替えている方がいれば、ぜひともコメントでアドバイス頂ければ幸いである。
コメントを残す