「カニバリゼーション」
同一企業のブランドや製品同士が、市場で同じお客を取り合って売上や利益を奪い合うことを言う。
ビジネスの世界ではライバル企業との戦いが常である。
例えばローソンの向かいにファミリーマートがある場合。
どちらかしかなければ、その地域でコンビニを利用する人を全て取り込むことができるのに、2店舗あるがゆえに客足が半減する。
こういう状態がカニバリゼーションである。
ありがちなサービスや商品では、他社との差別化ができずにカニバリゼーションの波に飲まれて行く。
そうなるとブランド力や知名度のある大企業に中小企業はやられてしまうのだ。
では中小企業や個人事業主は、すでに大企業がいる業界ではビジネスができないのか?
同じようなサービス、同じような商品を、似たような価格帯で展開するのであれば勝ち目はないだろう。
負け戦は目に見えている。
独自のサービスや独自の商品が必要になる。
例えばネットショップを個人事業で開業する場合。
Amazon、楽天、YAhooなどの大企業が扱う商品と同じものを、同価格帯で出しても売れるはずはない。
世の中で普通に売られている商品は、ほぼこれらの企業に網羅されているので、既存品ではダメだ。
取り扱う商品はオリジナル品である必要がある。
これだけ何でも売っている世の中で、生活用品や電化製品で新たにオリジナル品を展開するのは非常にハードルが高い。
そうなると個人の特色が出しやすい、デザイン雑貨やアート作品などの一品モノが現実的と思われる。
minne (ミンネ)やCreema (クリーマ)などのハンドメイドマーケットが最近盛り上がってきているのも納得できる。
個人事業であれば、こういうマーケットで自分のブランドを展開するのも一つの方法かもしれない。
いずれにしてもモノが飽和状態にある現代社会で、新たなビジネスを展開するのは容易ではない。
昔は「担当者がいい人だから」「お店の雰囲気が素敵だから」というような理由でモノは売れていた。
だが今の時代はWebページの通販が主流だ。
そこには担当者もいなければ、リアルなお店も存在しない。
誰もがモニター画面に映る商品ページからモノを買っているのだ。
当然、ホームページのデザインや購入手続きのしやすさが売上に繋がるのだが、最も大きいのは「商品力」と「サービス力」これに尽きる。
ここにしかない商品、ここにしかないサービスを提供できれば、カニバリゼーションなど関係なくなるのだ。
アップルの元CEO、スティーブジョブズは「iPod Touch」を世に出して、それまであった音楽プレーヤーやSONYのウォークマンとは別格の商品を提供し成功した。
その後「iPhone」を売り出す時に、電話ができるという機能以外がiPod Touchとほぼ同じだった事で質問を受けたそうだ。
「iPod TouchとiPhoneはとても似ていますが、カニバリゼーションの懸念はないですか?」
要はiPhoneを販売したら、iPod Touchが売れなくなるという事だ。
それに対してジョブズはこう答えたそうだ。
「他社の商品にカニバライズされるなら、自分たちの製品にカニバライズされる方が良い。」
優れた自社製品を、更に優れた自社製品で追い抜くというAppleの圧倒的な企業力が見える言葉である。
こういうセリフを言えるように、ビジネスを頑張っていきたいと思う。
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