アングルは撮影の世界において、被写体に対するカメラの角度のことである。
カメラアングルともいう。
ハイ・アングルは被写体を上から、ロー・アングルは被写体を下から撮影することである。
この2つの言葉は日常でもよく使われているので知っている人も多いと思う。
しかし、そのハイとローの境目が「アイレベル・ショット」と呼ばれ、床からおよそ150から180センチほどの高さのカメラ位置で撮られたショットを指しており、おおよそ人間の目の高さに一致している事はあまり知られていない。
このアイレベルショットより低ければロー・アングル、高ければハイ・アングルと呼ぶ。
最近はドローンが普及したおかげで、空撮による超ハイアングル映像が流行している。
効果的な映像を作る上で、アングルにこだわって撮影することは非常に重要だ。
ただ、コンテンツ配信のスタイルで最も多いパターンは、セミナー動画や講師が話している映像を正面から撮影したものだ。
人物1人を撮影するのであれば、「バストアップ」と言われる胸から頭までがちょうど画面に入る大きさで撮ればいいだろう。
全身を入れると顔の表情が見えづらいし、顔のアップでも威圧感を感じてしまう。
そしてこの場合にハイアングルやローアングルは不要だ。
ではアングルに凝る必要はないかと言えば、そうでもない。
自分の事務所や自宅の一室で撮影する人も多いと思うが、そういう場合に最も気をつけてもらいたいことがある。
それは「見切れる」ということだ。
この「見切れる」というのは舞台用語で、テレビ、舞台、演劇などで本来見えてはいけないものが見えてしまう状態のことを指す。
本番中に舞台袖に待機しているスタッフが、客席から見えてしまう場合など「スタッフが見切れている」などと言う。
この状態が自宅撮影でも知らず知らずのうちに起きてしまうのだ。
下の2つの画像を見比べて頂きたい。
これは私の自宅ソファに住み付いているピカチュウの写真だが、上の画像と下の画像の違いがわかるだろうか。
パッと見た感じは同じような感じだが、下の画像の左側にわずかに本棚が写り込んでいる。
要するにこういう見切れている状態に気づかず、撮影をしてしまう人が多いということだ。
本棚や家具が見切れるぐらいならまだいいが、自宅で撮影した場合などは部屋干しの洗濯物や布団が散乱しているベッドなどが映り込んでいる場合もある。
そういう生活感が出るものが映り込むと、コンテンツの品質が非常にマイナス印象になるので、注意して頂きたい。
加えて、少しだけ見切れている状態と言うのは、人間心理的にどうしても気になってしまう。
昭和のフレーズで例えるならば「チラリズム」といった感じだろうか。
先ほどの例で言えば、ピカチュウが映っている画像に本棚が見えていると、
「何の本が置いてあるのだろう?」
「本棚の上に置いてあるものは何だろう?」
「この本棚はニトリで売ってたヤツじゃないか?」
もはや意識はピカチュウではなく、本棚に行ってしまうのだ。
コンテンツの場合、メインで映っているものに集中できなくなり、伝えたい情報が希薄になってしまうのだ。
これではせっかく製作した動画コンテンツの効力が、非常に弱くなってしまう。
必ず撮影を始める前にディスプレイやファインダーを見て、余計なものが画面に映り込んでいないか確認する必要がある。
余計なものが見切れている場合は、撮影する場所を変えたり、映り込んでいるモノを動かしたりして、画面の中に必要なものだけが映る状態にする。
どうしても場所が変えられない時や、モノを動かせないと言う場合は、カメラを少し上下左右に動かしたりズームしたりして調整をする。
ちょっとしたことだが、意識しているのとしていないのでは、完成した動画を見た時の違いは明らかだろう。
動画撮影というのは、写真撮影と違って長時間になることが多い。
せっかく時間をかけて撮影した映像に、余計なものがずっと映っていると作品の出来に非常に影響する。
少しの手間を惜しまずに、撮影前にしっかりと見切れの確認をしておくことをオススメする。
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