私の場合、「起業しよう!」と思い立ってから、会社に辞職を伝えるまでに要した時間は1日である。

早い方だと思う。

起業を決心する5年ほど前から「仕事で独立する」という事に興味・関心は非常にあったのだが、自分が起業するという事が現実離れしているような気がして、ただの憧れのような感じで会社員を続けていた。

そんな中、決心するに至ったキッカケが2つあった。

まず1つが後輩の起業。その後輩は年が8つほど下のちょっと天然なヤツだった。

仕事はそこそこできるが肝心な所で油断してミスするような危なっかしいヤツだった。

そいつと3年ほど一緒に仕事し、私の異動で別々の部署になったのだが、ほどなくして後輩は退職。

しばらく会う事もなかったが、数年前に久しぶりに会うと起業し社長になっていた。

「自分の思うように仕事ができるので、会社員よりこっちの方が合ってるみたいです」と言っていた。

ちなみに現在の年商は1億ほどらしい。完全に成功したなと思った。

「あいつが独立して1億なら、オレでも独立したら1億稼げるんかな?」

明らかに自分はその後輩よりも仕事ができると思っていたので、後輩ができるならオレもできるかもと思ったのを覚えている。

 

もう一つのキッカケは15年目の異動だった。これが決定打になった。

私は3年刻みで異動を繰り返していたので、会社員15年目が5回目の異動だった。

5回目の異動先は、なんと新人の時に最初に配属された古巣の部署だった。

その異動先を聞いた時の「出戻り感」がどうしてもいい感触ではなかった。

人によっては経験のある部署で、しかも新人の頃の懐かしい場所に戻れて嬉しいと思うのかもしれない。

だが私はスタート地点に戻ってきたという何とも言えない感覚に襲われ、辞令があったその日の夜に独立を決心した。

その2つの出来事で決心がつき、辞令のあった翌日に上司へ退職の意向を告げた。

 

15年も働いていると、当然のごとく会社からの引き留めはあった。

だが、私は一度決めると簡単には考えを変えない「ガンコ者」なところがあるので、すべての引き留めを断り退職した。

今、思い返しても全く後悔はないし、起業してよかったと思っている。

今後はこれから食っていくために模索しながら仕事を成功させる必要があり、それが簡単なことではない事も承知の上だ。

だが、起業し、自分で自分のビジネスができることの素晴らしさは何にも比べられない。

現在サラリーマンで起業する気持ちがあるのに、現実を見すぎて一歩が踏み出せない人も多くいると思う。

だが私はいつもこの事を頭において、自分のやりたいことをやるようにしている。

「人生は1回きり。明日はどうなるかわからない」

よく聞く昭和のフレーズだが、本当にこれが真実だと思う。

 

最近、友人から「起業するとか、、勇気あるよな」と言われる。

だが今やりたい事を、今やるのに「勇気」はいらないのだ。

必要なのは「勢い」だけだ。